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ちびこの半生/カプーチョとの出会い

ちびこは「魔性の女」

メスコが1999年の暮に亡くなると、
つぎにやってきたのは今度こそ正真正銘のオスのポンタ(白パイド・野生)だった。

ポンタはかなり大人になっていたようでまるで人になつかず、傍若無人といったかんじ。
そのワイルドさに惹かれたのか(というかかなりしつこく言い寄られていた感じ)
ちびこは卵を6個出産。やはりちびこはメスだった。

おお、これはかわいいちびこの2世誕生か!?と喜んだのもつかの間、
ポンタは晴れた冬の日に卵を抱くちびこをおいて逃げてしまった。
無責任。
ちびこは卵を温めることを放棄してしまったので、孵らず。


そしてその次に来たのは、例のペットショップでまたもや「オスです」と言われた、
これも白パイドの目張りくっきりのシロ(メス・野生)だった。

一見しただけでメスだとわかるのに、見てくれが悪く貰い手がないから「オスだ」といって売られたようだが。

メスコとちびこが仲良しだったように、ちびことシロもすぐに仲良くなった。
が、ある冬の日、
いつも水浴びする水盤(ホントは花器)のそばに母がいた(電話中)ので別のところで水浴びをした。
場所は洗面台の洗面器の中。
いつもの3倍くらいの水深の洗面器で水浴びをしたので、どんくさいシロは溺れてしまった。


またもやひとりぼっちになったちびこは、今度は私のことを気に入ったらしく、
私が帰宅すると玄関に飛んできて出迎えてくれ、
私が部屋に行こうとすると先回りして2階の一番奥の部屋まで一気に飛んだ。

私が寝ていると枕元にやってきて、布団からでている手にとまったり、
ふとんのすきまから中に入って、うずくまっていっしょに寝たり、また仰向けに寝ているときは
私の顔にとまって丸くなって寝た。

私が家にいるときは必ず私の顔が見えるところにいた。
私が移動すればついてきた。そして私が呼んだときだけ返事をした。


そんななか、母が文鳥の雛(ポチ・桜)をつれてきた。
これから手乗りのしつけをする時期で、家族みんなの視線がポチに集まってしまったので、
ちびこはかなり嫉妬していたらしく執拗に攻撃していた。
が、ポチもまた、逃げてしまった。


しばらくちびこは一人ぼっちで、しかし家族全員の愛情を一身に受けて幸せに暮らした。

しかし、2002年6月、
私が結婚するのを機に家族は全員山梨に引っ越すことになったので(逆かもしれないが)、
もう1羽文鳥を飼ってちびこを一人ぼっちにさせないことを条件に私がちびこを譲り受けた。


そこで6月17日、山梨からの旅行の帰りに例のペットショップに立ち寄ると、
換羽真っ最中の汚らしい文鳥がいた。
しかし手乗りはこれしかいないというので、きれいになることを期待して連れて帰ることに。
DFK(旦那)はこのとき「なんでこんな汚いの買うの!?」と思ったらしいが。

今回は珍しく「メスみたい」という店員の言葉どおりだった。
あたまがごま塩のようなパイドっぽい桜文鳥だったのでごまちゃんと名づけた。

換羽がおわると見違えるようなきれいな姿になったごまちゃんだったが
自己アピールが強すぎたためか、もともと手乗りではなかったちびことは最初は気が合わなかったようだ。
しかしそのうち2羽でなかよく遊ぶようになった。

そんなある夏の朝。8月1日のこと。
朝食の準備が整い、サァ食べましょう、というときにDFKが足元にいたごまちゃんを。。。
半身不随の危篤状態になってしまった。

しかしやはりここでも、一緒に遊んでいたちびこのほうはまるで何事もなかったような顔をして飛び立った。

その夜、母から電話があったときにごまちゃんが危篤と告げると
「そんなじゃもうちびことあそべないんだから、新しい文鳥を買ってきなさい」
と、無情な言葉。
しかし当のちびこはあんまり気にしてない様子。
あの友情は偽りだったのか??


しかし「ちびこをひとりにさせない」のが飼う絶対条件だったので、2日、文鳥探しの旅に出ることに。



最後の1羽

出かける前にタウンページをめくって、いつものペットショップではないところを探した。
また、インターネットで近場のペットショップを探してみた。
すると、タウンページにも載っていた店で、そこをおとずれたことがある人のHPを見つけた。
その人が言うには「スゴイ」店だという。

なにがどう「スゴイ」のか?
よくわからなかったが、とにかく店先から店内までぎっしり鳥カゴだらけだという。
そして、店のおじさんにはいきなり「なに飼ってるの?」と聞かれるらしい。。これは期待できそうだ。
というわけで、さっそくその店に電話して場所を聞き、いってみることに。


いわれたとおりの道を歩いていくと、「湘南ペットセンター」とかかれた看板が目に入った。
これが目的の店なのだが、入ってみるとなぜか鳥しかいない。

「ペットセンター」なのに、扱っているのがどうやら鳥だけの様子。
門のところにおいてあるカゴではきれいな桜文鳥が5,6羽いて、
皆が暑そうにクチバシを半開きにしていた。
その下のカゴにはチャボがいて、やはりこれも暑そうだった。
店につづく庭、そして店内にもインコや文鳥、十姉妹やキンカチョウが
ところせましと並べられたカゴのなかでひしめきあっていた。たしかに、これは「スゴイ」としかいいようがない。

しかしなにより一番スゴイのは店のおじさんだった。
私が店に入るとおじさんが「なに飼ってるの?」と聞いてきた。
おお!例のHPにあった通りではないか!
びびる私をよそに、おじさんは鳥の自慢をはじめた。
文鳥ならこないだまで150羽いたとか、うちのインコはよそにはない色だとか、心底うれしそうに話す。
とにかくこの店が、鳥が、好きでたまらないらしい。

そんなおじさんの話を適当に聞き流しながら見回すと、すみっこの文鳥のカゴに
1羽だけシナモン文鳥がいるのをみつけた。
しかもかなり精度の高い(?)シナモン文鳥と思われ目は赤く、
ブロンドのような頭ときれいなすべすべのクリーム色の体にひとめぼれしてしまった。

おじさんが野生のオスだというので年増のちびこがいやがるかも、とちょっと考えたが、
決心して買うことにした。

家に帰るとちびこがさっそくのぞきにきて、訝しげな顔をした。

しかしこの文鳥、カゴに移してやっても全然動こうとしない。
立ったままクチバシを半開きにして目をつぶっている。かなり緊張している様子。
しかしこの文鳥はオスはオスでもあのガラの悪いポンタとは比べ物にならないくらい目つきが良かった。
だから買う気になったのだけど。

部屋に放してやっても、いままでずっとカゴの生活だったのでスグにカゴにもどりたがる。
というより、飛び方を知らないらしい。
ちびこもまるで無視しているので、ほんとうにコイツがなつく(と言う以前に「慣れる」)日が来るのか
いささか心配であるが。


次の夜ごまちゃんは天に召された。



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